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STORY

 ふと、脚が寒いと感じることが増えた。長めの靴下を履いてみたり、通販でひざ掛けを買ってみたり。暑がりな方だと思っていたのだけれど、手足が冷たいのだ。いつの間にか、季節はすっかり秋だ。

とりあえず、仕事の合間にストレッチを始めてみた。夏の間はシャワー派だったけれど、今日から湯船もちゃんと浸かろう。ネットで体を温める方法を検索し、すぐできそうなことはやってみる。と、そこへ、母からの電話があった。

「ちゃんと食べてる? 風邪ひいてない? 何か欲しい物ある? お金は大丈夫? 」

電話をとると、こちらが何か言う前に、母は一気に質問をする。心配してくれてるのか、ただおしゃべりなのか。思わず苦笑いだ。

寒くなってきたから、色々調べてて。と言うと、アッサリと断言されてしまった。

「食べ物が大事よ。ちゃんとご飯食べなきゃ、どうしようもないんだから」

電話を切った後すぐに、懐かしい母の字で書かれたレシピの写真が送られてきた。
鮭、生姜、長ネギ、キムチ……。それから豆乳も。見ているだけで、温まりそうなお鍋の食材たち。ちょうど冷蔵庫は空っぽだ。材料を買いに行って、早速試してみようかな。

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買い物から帰ったら、いざ調理。切って炒めて、煮るだけの鍋だけれど、体を温めるための料理だと思うと、1つ1つの工程も重要に思えてくる。

唐辛子や生姜、長ネギは身体を温めてくれることで有名だ。鮭は、身がふっくらとしていておいしそう。旬のものを食べなさいと。子どもの頃から母に言われていた。ひと煮立ちさせたら、最後に豆乳を。そういえば母も豆乳をよく飲んでいた。そのせいか、豆乳鍋やスープをよく作ってくれていた気がする。いつの間にか、母の好きなものを受け継いでいるようだ。

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 火を止めて、そのまま食卓へ。こんな豪華なお鍋、独り占めしちゃうなんて。一人暮らしも楽しいものだなぁ、とか。つい思っちゃう。少々汗をかきながら、やさしい辛さとごま油の香りで、ぺろりと食べられてしまった。

食器を片付け、母にメッセージを入れた。

「これぞ、母の愛というやつですね!」

なんて言ってみる。直球にお礼を言うのは、ちょっと恥ずかしいから。母とお鍋のおかげで心も身体もポカポカに。今日は、いつもよりぐっすり眠りにつけそうです。

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愛でポカポカ 母直伝豆乳チゲ

fin.

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