STORY
夫は趣味でやっている音楽の練習で。娘は塾の特別講習。各々出かけてしまい、久しぶりにひとりで土曜日を過ごすことになった。
手持ち無沙汰を感じつつ、近所の商店街へ。いつの間にか、駅前には新しいカフェができている。最近は、夫婦や家族でこんなところにお出かけする機会も減ってしまった。娘は忙しいし、夫を誘うのもなんだか照れ臭いな。
そうだ。自宅でカフェ気分をということで、ちょっと豪華なブランチメニューを作って見るのはどうだろう。カフェのメニューを参考に、フレンチトーストにしようかな。チョコレートやバニラアイスものせて、明日はふたりを驚かせるぞ。
ふたりが帰ってこないうちに、こっそり仕込みを始める。卵液には豆乳を使おう。やさしい甘みの染み込んだフレンチトーストは、チョコレートとの相性も抜群だろう。そんなことを想像しながら、私が一番、明日を楽しみにしている。
翌朝はふたりを驚かせるために、少し早めに起きて準備。揃いの色の紙ナプキンや、普段は使わない大きなお皿も用意する。
パンをひっくり返して、チョコを溶かして、いいタイミングで娘がリビングにやってくる。ちょうどいいから、紅茶を淹れてもらおうかしら。
続いて、ちょっと寝坊気味の夫もやってくる。ほらほら、今日はちょっといいごはんだから早く、と声をかけて。
フレンチトーストのお皿と、アイスのお皿、ミルクチョコレートを溶かしたお皿を並べる。バニラアイスとミルクチョコをトッピングして、楽しんじゃおう。これに、好きなだけチョコをかけていいよと、堂々の宣言だ。
「今日はもう、カロリーとか気にしないもんね」
夫のセリフに、私たちふたりもつい賛同。豆乳フレンチトーストのやさしい甘さに、ミルクチョコレートは相性がいい。もちもちとろとろだね、やっぱお母さんは天才だね、と、ふたりも絶賛だ。
フレンチトーストも大成功だったし、なんて特別な日曜日の朝。たまにはこんな甘い時間も、いいよね。
豆乳フレンチトーストで、家族みんなの甘い朝。
fin.